デザイナー変わります ゆふ高原線に新・観光列車 グリーン席で5時間の旅を 24年春登場

JR九州は、2024年春に開催する大型観光企画「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」に合わせ、久大本線(ゆふ高原線)で新しい観光列車を運行すると発表しました。

D&S列車 特急「ゆふいんの森」として運行しているJR九州キハ72系気動車「ゆふいんの森Ⅲ世」編成(ninochan555/写真AC)
D&S列車 特急「ゆふいんの森」として運行しているJR九州キハ72系気動車「ゆふいんの森Ⅲ世」編成(ninochan555/写真AC)

博多〜由布院・別府間を1日片道1便

同社は九州各線で個性あふれる観光列車を運行しており、特別なデザインと沿線地域のストーリーを掛け合わせた「D&S列車」という呼称で展開しています。

ゆふ高原線では現在、D&S列車の先駆けとなった「ゆふいんの森」が博多駅〜由布院駅・別府駅間で毎日運転しており、1日あたりの運転本数は最大3往復と充実しています。また、週末を中心に、贅沢なコース料理を車内で味わえる団体専用のD&S列車「或る列車」が博多駅〜由布院駅間で運転しています。

2024年春の運行開始を予定している新列車のコンセプトは「ゆふ高原線の風土を感じる列車」です。“風土”には、その土地の気候や地勢、そこから生み出される土地の食や風習、風景が含まれ、これらを五感で楽しむ列車として開発されます。

運転区間は博多駅から由布院駅・別府駅までで、鹿児島本線・ゆふ高原線・日豊本線を経由します。月・水・土曜日が博多駅発、火・金・日曜日が別府駅・由布院駅発という1日片道1本の運転で、木曜日は運休となります。博多駅〜別府駅間の所要時間は、現行の「ゆふいんの森」で3時間16〜27分のところ、新列車はおよそ5時間をかけて走行します。

新列車はすべての座席がグリーン席になるとのことで、全車両が普通車指定席の「ゆふいんの森」と比べて乗車料金は上がります。車内では、ゆふ高原線沿線の食材を中心に福岡・大分両県の魅力が詰まった食事をお弁当として用意するとのことで、車窓からの雄大な自然とともに贅沢な旅のひとときを過ごせそうです(ゆふ高原線で運行する新D&S列車の運行ルート、現行「ゆふいんの森」の運転時刻など詳細は下の図表を参照)。

【路線図で解説】ゆふ高原線で運行する新D&S列車の運行ルート、現行「ゆふいんの森」の運転時刻

「水戸岡デザイン」から方向転換

今回、新D&S列車のデザイナーとして選定されたIFOO(本社:鹿児島市)は、鹿児島県を拠点に建築施工や観光事業なども営むデザイン会社です。JR九州が2021年9月に立ち上げた「九州 DREAM STATION」プロジェクトに応募し、駅と周辺地域のにぎわいづくりを実現する“にぎわいパートナー”として認定されました。

IFOOは今年度、日豊本線の霧島神宮駅(鹿児島県霧島市)で駅舎の内装リニューアル工事を担当します。コンコースや待合室を心安らぐ空間へとリノベーションするほか、駅員室のスペースを活用し、鹿児島の手仕事や食の発信拠点となる飲食店舗「茶屋(さや)」を整備します。

また、同社は鹿児島市内で、武家屋敷の建築文化を取り入れた高級民泊施設「萌蘖(ほうげつ)」を2019年から運営しています。鹿児島独自の伝統文化を後世に伝えていく拠点と位置付けており、一日一組限定のプライベート空間では郷土の食事や湯治をゆったりと楽しめます。

ところで、JR九州の車両デザインは、デザイナー水戸岡鋭治さんが率いるドーンデザイン研究所(本社:東京都板橋区)がその多くを手がけてきました。世界的知名度を誇るクルーズ列車「ななつ星in九州」の内外装デザインを筆頭に、最近では、西九州新幹線を運行するN700S「かもめ」や、佐賀・長崎両県を周遊するD&S列車「ふたつ星4047」も担当しています。

JR九州の車両の象徴的要素である「水戸岡デザイン」から離れ、地元九州の企業との協働へと方向転換することで、D&S列車にどのような変化が起きるのか、続報に注目したいです。現段階では、新しい列車名や車両デザインなど詳細は未定で、既存のD&S列車の運行体系についても特に告知されていません。

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